岩渕農園
葉とらずりんごの岩渕農園

青森県津軽地方の平川市で自然本来のカタチでのりんご栽培に力を入れている岩渕農園の3代目。農園は祖父の時代から半世紀以上も続く、津軽地方でも古株のりんご農園になる。葉とらず栽培が始まって約20年近くたっているが、その方法に究極のりんごが作れる可能性を見出し日々研鑽を積んでいる。青森県りんご品評会の「葉とらずふじ部門」にて連続優賞を受賞。若いながらもこだわりと熱心さでおいしいりんごを作り続けている。

岩渕農園

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葉とらずサンふじ 岩渕農園

葉とらずサンふじが実をつけるまで

津軽平野の南方、平川市は三方を山に囲まれており、北西に津軽富士と称される岩木山、東に映画でも知られる八甲田山系を眺望できます。また天気の良い日には世界自然遺産、白神山地の稜線を垣間見ることもできます。

冬の大雪、開花時の低温、夏場の高温、収穫時期の長雨など、メリハリのある気候が特徴の津軽地方。りんご園での作業はこの天候との戦いでもあり、実際にお父さんについて始めたばかりの頃は両親の苦労が本当に身に染みたそうです。りんごの苗から実をつけるまで3 〜 5 年かかりますが、そのりんごの苗のように岩渕さんも3 代目園主として枝の形、実のなり方、葉っぱの付き方、木一本一本に特徴があるりんごのことを知ろうと必死で頑張ったそうです。

営農して14 年、その努力は報われました。毎年開催されている青森県りんご品評会「葉とらずふじ部門」で優賞(青森県農林水産部長賞)を受賞しました( 平成23 年)。

葉とらずりんごの小さな葉っぱ

秋を迎え、実が赤くなる頃に行われるのが「葉摘み」と呼ばれる作業です。果実の周囲に繁る葉を摘むことで、果実全体に日光が当たるようになり果実の表面がむらなく赤く色付きますが、「葉とらず」の名前でわかるようにこの葉摘みを行わずにいわば自然の状態で果実を熟させるのが岩渕さんの「葉とらずりんご」です。

なぜ、葉を摘まずにりんごを育てるのか?それには深い理由があります。太陽のたっぷり浴びた葉が作りだす養分を十分に蓄えた葉とらずりんごは、それはもうびっくりするほどの美味しさなのです。りんごの表面に残る葉の影こそ、りんご本来が持つ美味しさのシンボルであることを、どこまでも豊かで芳醇な甘さの中にお伝えしたいのです。

岩渕農園がりんご栽培の中で最も大切にしていることの一つに葉っぱづくりがあります。葉とらずりんごの農地の中でも岩渕農園の葉は一回り小さいのですが、それは糖度をさらに上げるためのこだわりなのです。このよく働く小さな葉っぱが岩渕さんのみつ入りりんごを作り上げるのです。

葉っぱ一枚一枚からりんごに美味しさが伝わる

千本の木を剪定しなければ一人前になれない

毎冬、腰くらいに積もる雪をかき分けて約2ha のりんご園の約1000 本もあるりんごの枝を丁寧に剪定していく のですが、その際に参考にするのが前年一年間の葉の様子と木の体調ともいえる樹勢。毎日作業しながら一枚一枚の 葉を観察し、その様子から樹勢を読み取り、それをもとに枝を剪定していくのです。それは言葉を話さないりんごの 木と岩渕さんとの言葉のない会話です。りんごの言葉を理解できるようになるまでにはやはり相当の経験が必要だっ たそうで、「千本の木を剪定しなければ一人前になれない」といわれるのはもっともなのかもしれません。

りんご栽培の奥義』・・・実は、おいしいりんごを育てるために特に気を遣い、経験と技術を必要とするのが枝の剪定なのです。というのも通常栽培のように葉を摘まない代わりに葉っぱや実のつき方、樹勢がとても重要だからです。花のつく春、葉が繁る夏、果実が実る秋の姿を想像し、日当たりや風通しを考えて剪定します。このさじ加減一つで木は良くも悪くもなるのです。事実、岩渕さんの葉とらずりんごは「葉とらず」とは思えないほどきれいな色づきをしています。

葉とらず栽培と通常栽培の葉っぱの量は一目瞭然。しかしながら葉っぱを摘まないだけがおいしさの秘密なのではありません。良い花芽の見極め方と養分の流れを理解することと、一本一本のりんごとの会話をしながらの剪定の技術と経験が大事なのです。

りんごの実る秋を創造して剪定

岩渕さんの葉とらずりんごが食べたい!

岩渕さんの農園では化学合成農薬の使用回数を青森県の慣行栽培基準の2/3 以下に抑えています。栽培期間が長いため、農薬削減がとくに難しいりんご。りんごは花のつく春から収穫まで病害虫の心配がつきません。一度病気や害虫が広まると、薬を使っても数年は木がもとに戻らないことも。

「それでも、安心して食べてもらえるおいしいりんごを届けたいんです」

こうして手間をかけて育てた大事なりんごの収穫もまた気を使う作業。収穫時期の理想は、葉っぱが紅葉し始め(緑、黄)、着色したりんご(赤)とりんご園に三色の色が混在しているときで、系統ごとに異なるりんごのひとつひとつの色や触ったときにごつごつした感覚(いぼり)のあるものを選んで収穫します。

「食べておいしいりんごの赤色は黄色の混じった赤で、縞が入ったりんごのほうが味にブレが少なく、皮が薄くて歯ごたえが良く味の濃さが違うんですよ。そして究極のりんごは手に取ったときしっとり重く、触った感じがごつごつしています。」

手間をかけ経験を重ね、技術をあげることで生まれた岩渕さんの究極の『みつ入りの葉とらずサンふじ』をぜひお楽しみください。

みつを入れるために

りんご
たくさんお日様にあたらせる

実は昔から葉っぱだけでなく実自体も太陽を浴びることによって糖度が上がることがわかっていました。けれども病害虫の防御から始まった有袋栽培を最近は均一な色づきが目的で行っているところも少なくなく、無袋栽培を始めた時は消費者にはもちろん生産者にもなかなか受け入れられなかったそうです。

はとらずりんご
収穫をできるだけ遅らせる

葉っぱは養分を実に送るだけではなく霜や暑さから実を守る役目も果たし、より収穫を遅らせることが可能になります。ぎりぎりまで木上にあることでりんごは果肉内の余分な水分を外に出そうとします。そのとき気温が低くなるとりんごの実に水滴がつくようになり、これによって実から水分が出にくくなり結果的に蜜ができやすくなります。

葉とらずりんご
収穫まで葉っぱを残す

  果実に充分栄養がゆき渡るように光合成をさせます。葉は工場の役割をしているからです。美味しさの秘密は、葉が陽の光をたくさん浴びて空気中の炭酸ガスで呼吸をし、りんごに養分(ソルビトール)を送ってこそ甘みが増し美味しくなるのです。しかも葉とらずりんごは糖度が高いだけでなくジューシーなのもの特徴で、 ナイフを入れると「パリッ」ととてもいい音がします。 果肉からあふれるジュースもたっぷりで美味しさの証です。

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