青森県八戸市〜岩手県北部(旧南部藩地区)で昔から食べられている「南部せんべい」。小麦粉と塩と水だけで作られているシンプルな煎餅です。この地域では、5月〜8月に「ヤマセ(山背)」に悩まされます。ヤマセは低温の湿った風で、ヤマセが吹くと気温は20度以下が続き、日照不足になり、米などが育たない被害に見舞われます。八戸は、江戸時代の後期には飢饉もになったそうです。そこで冷害にも強い小麦粉やそばなど雑穀を作り始め、麦やそばの皮から、せんべいを作っておき、このヤマセの時期に保存食としていたそうです。こうしてこの地域には独自のコナモン文化(粉もの)が広がっていき、その中にはかっけ・ひっつみ(すいとん)・南部せんべいなどがあります。